Myu Audio日記

オーディオ関連のブログです。

周回遅れの音楽鑑賞

たまたま、20年前のステレオサウンド誌(Summer 2004 151号 )を読んでいましたら、新譜紹介の欄でグリモーのクレドのCDが草野次郎氏、東条碩夫氏、楢大樹氏、諸石幸生氏がベストクラシック音源として推薦されていました。石原俊氏、菅野沖彦氏、柳沢功力氏もクラシックを担当されていましたが、何故か音楽的またはオーディオ的に感動はされなかったようです。

 

 

 

グリモーのクレドのジャケットはオーディオの掲示板などで何回か目にしたことがあり気にはなっていましたが、今まで縁がありませんでした。しかし、ステレオサウンドで4名の音楽評論家が音楽性と録音の良さを高く評価していましたので、中古のCDですが購入しました。正しく、周回遅れの音楽鑑賞です。

 

このCDが届いてから、Accutonのシステムのシステムで一週間ほぼ毎日、ボリューム全開で聴いています。この録音は手法およびレベルが適切ですので、ボリューム全開でも煩さはまったくありません。音楽に没頭できる丁度良い音量です。

 

一曲目のコリリアノーノのファンタジア・オン・オスティナートの冒頭の強烈なAの和音の立ち上がりとその余韻を聴くだけで、オーディオ的な観点からはスピーカーの再生能力と部屋の残響時間が把握できそうです。超多忙なオーディオ評論家が我が家にやって来て、この曲の冒頭のみを聴いて、「はい、分かりました」と言って帰っても私は納得するかも。もちろん、心穏やかではありませんが😅

 

3曲目のベートーヴェンの「合唱幻想曲」も聴き応え十分なのですが、4曲目のアルヴォ・ペルトの「クレド」のピアノ、オーケストラ、混声合唱の西洋的なイエス・キリストの慈悲を讃えながらも、宗教を超えて聴く人の人間性を哲学的に問うような音の絵巻物的な演奏には圧倒されます。20年前に発売されたCDですが、不安定な今の時代にこそ聴いて欲しい曲です。

 

録音のダイナミックレンジがかなり広いですので、静寂さを味わうためにもそれなりの音量で味わいたい音源です。音の立ち上がりの鮮烈さが素晴らしくフォルティシモになっても混濁感は感じられません。今回の好結果は、部屋の残響時間を加味したAccutonのシステムのレベル調整も寄与していそうです。CDのフォーマットでもこれだけのオーディオ再生が可能なのだと改めて思い知らされました。

 

 

それから、この音源はレコードでも今月末に発売されるようです。アナログ再生を極めたシステムで聴くと感動で心が震えるかもしれません。しかし、デジタル派の私はレコードよりハイレゾで発売して欲しいのです。 SACDでも発売されていますが、我が家では再生できないのです😅

 

 

 

グリモーのこのCDは、音場型のAccutonのスピーカーシステムおよび高域にキラキラ感のある部屋との相性も素晴らしく、オーディオをやっていて良かったと思えるような演奏・録音でした。しかし、私が20年前このCDを聴いてもその良さは十分に理解できなかったような気がします。オーディオの神様が、今のお前なら少しはこの演奏の良さが分かるかもと言っているようです。

 

試行錯誤の20年を経て、今の自分のオーディオ再生があります。そして、もっと精進せねばと思させるような演奏・録音との出会いとなりました😀