先日、あるオーディオショップで開催されたイベントに参加してきましたので紹介します。
無指向性、リボン型同軸、セラミック・ダイアモンド振動板が特徴の三種類のスピーカーが同じ環境で聴ける絶好の機会でしたので、我が家からは遠出になりますが、頑張って行ってまいりました。これらのスピーカーと組み合わせる上流の機器は、これ以上何を望むのと思われるようなオーディオ界のスター軍団です。このイベントで使用された機器類は私が手を出せるような価格帯ではありませんが、世界有数の山頂からの眺めを体験したく参加させて頂きました。
超が付くような高額機器には賛否両論あるようですが、そこは需要と供給の関係で世の中は回っているのでしょう。私は写真を見ながら夢を膨らませるタイプですので、肯定的に捉えています。もし、年末ジャンボ宝くじに当たったら、このショップの売り上げに貢献しますと言いたいところですが、宝くじは人生で数回しか買ったことのない現実主義の私です😆
下記がイベントで使用された機器類です。
上流機器(固定)
- Roon Server TAIKO AUDIO SGM EXTREME(写真 左)
- D/A CONVERTER dCS Vivaldi APEX DAC(写真 中央)
- プリアンプ SOULUTION 725(写真 右)
- パワーアンプ SOULUTION 711(写真 右)
使用スピーカー(比較試聴)
- GERMAN PHYSIKS HRS-130HP(写真 左)
- PIEGA COAX811(写真 中央)
- ESTELON XB DIAMOND MK2(写真 右)
比較試聴の順番は、下記の通りだったと記憶しています。
GERMAN PHYSIKS HRS-130HP → PIEGA COAX811 → ESTELON XB DIAMOND MK2 → PIEGA COAX811 → GERMAN PHYSIKS HRS-130HP
一巡目では、それぞれのスピーカーの良さが活かせるであろう(または苦手を克服したのが確認できる)楽曲が使われました。二巡目では課題曲(ジャズボーカル・ポップス・交響曲など)が共通で使われました。そして、スピーカーを入れ替える前と後では同じ楽曲が使われましたので、それそれ参加者が自分にとってのベストが確認しやすいイベントの構成です。自分の好みのスピーカーを探している参加者としては、このような配慮は嬉しいですね。
GERMAN PHYSIKS HSR-130
GERMAN PHYSIKSのHSR-130はDDDユニットを無指向性のスピーカーです。DDDユニットは6.5インチ、質量は3g以下、帯域は200Hz以上を担当します。ウーハーユニットの径は250mmで密閉型エンクロージャーに下向きに取り付けられています。DDDユニットとウーハーユニットの音色の統一感がメーカーの腕の見せ所のようです。
輸入代理店のサイトに下記の記述がありました。
設置する部屋に過度な吸音パネルや吸音材は必要ないという事です。無指向型スピーカーは壁の反射音を利用して、ホールにいるような自然なステレオイメージを作りだします。通常のスピーカーに慣れてしまったユーザーは最初戸惑うかもしれません。しかし、このサウンドこそ自然であると気づくのにそう時間はかからないはずです。
私がGERMAN PHYSIKSのHSR-130を試聴しての感想です。素人の感想ですので、軽く流す気持ちで読んで下さいね。
無指向性という事で、我が家のオーディオ再生とはかなり異なるのかなと、最初は身構えていました。6.5インチ径のユニットが200Hz以上を担当しますので、音色は私の基準では濃い目です、生より生々しい実体感を求める方には好まれそうです。そして、空間表現能力はやはり噂通りでした。しかし、最小バッフルのスピーカーシステムを壁から離して天井高のある桧壁の部屋で聴いている私にとっては、異次元レベルの空間表現の体験とはなりませんでした。今回の試聴で、空間表現の確認ができたのは収穫です。
PIEGA COAX811
PIEGAのCOAX811は中高音域に大型の同軸リボンユニットを採用しているのが特徴で、クロスオーバー周波数は500/3.5kHzです。低域側は4つのユニットがついていますが、その内の2つはドロンコーン用です。
今回新たに開発された同軸リボンユニットのミッド部の裏面にはダンプ材(薄いシート)が追加されたそうです。これによって、ウーファーとの音色が以前のモデルより揃ったようです。質量の軽い素材は振動板として周波数特性の観点からは素晴らしいのですが、そこは楽器と同様、質量に伴った音色となるようです。リボン型のチリチリ感が苦手の方も居られるようですが、この新開発の適度の質量を持ったリボンユニットのオーディオ再生は、リボンを意識させない、素晴らしいものでした。低域との音色とスピード感も、GERMAN PHYSIKSのHSR-130と同様、揃っていました。
ESTELON XB DIAMOND MK2
ESTELONのXB DIAMOND MK2はAccutonのユニットを使った3ウェイのスピーカーです。ウーファーとミッドはセラミック振動板ですが、ツィーターは自然な音触が特徴のダイヤモンドの振動板を採用しています。キャビネットは大理石パウダーや樹脂等のコンポジット材とありますが、デュポンのコーリアンとどう違うのでしょうね。
ユニットの径は下から。220mm、158mm、25mmで構成された3ウェイです。我が家は4ウェイで、下から250mm、220mm、90mm、25mmのユニットを使っていますので、出音にどのような違いがでるのか興味深々で試聴に臨みました。ちなみに、(220+90)/2=155となるのは、音響的に必然なのか偶然なのでしょうか。Effective Piston Area ではこの関係はなりたちません。
ESTELONのXB DIAMOND MK2のキャビネットデザインは子供の頃みたウルトラマンに登場した怪獣(なんとか星人?)に似ていないでもありません。オーソドックスなデザインが好みの方には違和感しかないのかもしれませんね。私的には、やはりツィーターは一番上に付いて欲しい気はしますが、機能美のある素敵なデザインと思います。
一般的に、ツィーターと耳の高さは揃えるのを奨励されていますが、最近のスピーカーでは、高さ方向の表現能力が向上したので、あえて両者を揃える必要は無いとの意見もあるようです。スピーカーが消えてくれれば、それがベストなスピーカーの配置と思っている私です。
ESTELONのXB DIAMOND MK2でのオーディオ再生は、私にはとても自然に聴こえるので、好みの音なのでしょうね。高い剛性と適度な質量を持ったセラミック振動板ですので、使い方には配慮が必要ですが、私が求めるオーディオ的快感が味わえます。「オーディオ的快感」と書くと爆音再生ではと誤解されそうですが、音楽が私にとって自然(生々しく)になってくれる時にこの表現を使っています。
今回の試聴会で聴いた機器類を購入する機会は、残念ながら私には訪れないと思いますが、今回このような機会を作ってくれたオーディオショップには感謝します。
違うショップですが、今年の10月に飛び込みでミュージックサーバーの試聴をお願いしたところ気持ち良く対応して頂き、それが購入に至りました。今回イベントを開催して下さったオーディオショップとも縁が有って、いつか今回のような営業努力に応えることが出来ればと思っています。