Myu Audio日記

オーディオ関連のブログです。

チェリスト、青木十良

青木十良が米寿記念にと発表したCDのジャケット(バッハ無伴奏チェロ組曲第六番二長調)と著者(大原哲夫)との偶然の出会いから生まれた本です。大原哲夫は音楽関係の出版に多くかかわっており新忠篤との共著もあります。

筆者の大原哲夫は青木十良の演奏が世界一だと言う。それまでカザルスをはじめ世界あまたのチェリストがこの曲に挑戦してきたが、「大げさではなく、青木十良はどの演奏も越えていた」。

 

 

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 1915年生まれの青木十良は戦前から演奏活動を開始し、戦後NHKの専属アーティストとして全国各地で演奏活動を行なった。そのかたわら桐朋学園などでチェロと室内楽などの指導にも力を注ぎ、優れた音楽家を数多く育てた。90歳を越えても現役で演奏活動を続け、2014年96歳で死去。

科学に興味を持っていた青木十良は小学校3年生の時『子供の科学』と『無線と実験』の創刊号を見て、半田ごてを握った。オーディオがまだ低周波と呼ばれていた時代にたくさんの真空管アンプを作った。これには親しみを覚えます。

チェロを始められたのは中学3年生の時だそうです。裕福な家に生まれた青木十良は開成中学の時、今のお金で300万円を持って一人で銀座の楽器店にチェロを買いに行く。そこから長い彼のチェロとの付き合いが始まり、80歳を過ぎてバッハ無伴奏チェロ組曲を発表した青木十良の言葉です。

 

 ”僕はね、人生、70歳で花が咲くと思うんですよ。50、60歳は、一生懸命勉強しなくちゃならない。そして、70で花を咲かせたらいい。そして80歳はゆうゆうその流れに乗って、90まで行く。”

  

自分に残された時間は分かりませんが、悔いのないように生きたいものです。