第1楽章を中音量で聴き始めた瞬間、この録音は私が期待していたのと違う!と、期待が高かっただけに落胆してしまいました。録音が少しモノラル的で音に分離感が少なく、サイトウキネンオーケストラ特有のほれぼれするような弦の美しさがいまいち感じられません。フィリップス盤のブラームスの交響曲4番は申し分無い録音なのにと思いながら聴き続けました。
しかしながら、音量をかなり上げるとオーケストラの編成が立体的になり時間軸の加工が少ない録音だと分かってきます。サイトウキネンオーケストラの過去の録音と比較すると弦楽器の美しさの表現は今一歩の感じですが、ブラームス特有の重厚な中にも流れるようなメロディは余すことなく録音されています。昨年紹介しましたデンオン・ワンポイント・エディションの録音を思い出したしだいです。
最後に、この演奏は是非ダイナミックレンジが十分にとれるSACDまたはハイレゾの音源で聴いてみたいですね。カーネギーホールの空気感はCDのダイナミックレンジでは表現しきれていないように私には感じます。しかし、このCD(演奏)は何百回聴いても飽きない素晴らしい出来栄えです。