Myu Audio日記

オーディオ関連のブログです。

スーパーカーでサーキット走行を体験(オーディオの話です)

昨年の11月、オーディオの全盛期に第一家庭電器が会員用に企画した高音質レコードを地元の蚤の市で10タイトル入手しました。一枚はあたり100円で購入できたのは、オーディオに真摯に向き合っている私に神様が応援してくれたのかもしれませんね。

 

今日はその中の一枚、「マニアを追い越せ!大作戦 DAM Original Professional Record Direct VS 45」を紹介します。

 

A面は邦楽4人の会(尺八、十七弦、琴二人)演奏の 「九州民謡による組曲」です。下記は表面のジャケットの写真です。

 

この曲の録音は、東芝EMIの川口工場にあったカッティングマシンを東京アオイ・スタジオに移設してダイレクトカッティングが実現したそうです。下記はチーフプロデューサーの行方洋一氏でライナーノーツで書かれている一節です。

 

私共ミクサーが録音の時に聞いている音、つまりミクシングマシーンでバランスを取って録音して時のモニター音(この場合テープ・レコーダーは存在しません)この時の音がダイレクトカッティング盤では味わえるのです。

 

行方洋一氏が伝えかったことがB面を聴いて理解しました。これについては後述します。

 

B面はThree Blind Mice (TBM)の既存のマスターテープを使い、東芝EMIのプロフェッショナルシリーズ同様ハイレベルでのカッティングで45回転です。1曲目と3曲目は記録時間の制限でフェードアウトされていますが、名盤を高音質で味わえるのは有難いです。

  1.  鈴木勲トリオ 黒いオルフェ
  2.  ヤマ&ジローズ・ウェイヴ  追憶
  3.  山本剛トリオ ミスティ

 

下記は裏面のジャケットの写真です。表面・裏面リバーシブルです😀

 



 

下記はライナーノーツの注記です。

 

このレコードはカッティングレベルが一般的のレコードに比べて大幅に高くなっていますので、カートリッジ・アームの調整が悪いと歪みや針飛びを起こすことがありますので御注意下さい。

今までカートリッジの針圧を微調整する必要性はあまり感じたことはありませんでしたので、メーカーの標準値にしています。しかし、グランツのトーンアーム( MH-10B)とDS Audioの光カートリッジ(DS001)の組み合わせでは歪みは感じられませんでしたが、ロクサンのトーンアーム(TABRIZ-ZI )とオルトフォンのカートリッジ(MC-A90)では2カ所程歪みを感じました。MC-A90の針圧値をメーカーの標準値より10%増しにしたら改善できましたので、このレコードのカッティングレベルの高さは伊達ではなさそうです。

カートリッジメーカーの針圧の標準値は、車のサスペンションの調整に例えると街乗り用でしょうか。スーパーカーでサーキットを200キロ以上の速度で走行する場合はそれに合わせたサスペンションの調整が当たり前です。レコード再生でもカッティングレベルに合わせて針圧を調整するのが必要なのですね。私は今までアナログを真面目にやっていませんでした。ポリポリ😅

 

 

今回紹介しているレコードは両面ともカッティングレベルが一般のレコードより大幅に高いのは共通していますが、A面は33回転ですがダイレクトカッティング、B面はマスターテープからの普通のカッティングです。その差は私が当初予想していた以上でした。

 

A面のダイレクトカッティングされた演奏を聴くと、尺八、第一琴、第二琴、十七弦の位置関係がひときわ明瞭で、遠近感も忠実に再現しているようで演奏が立体的に聴こえます。それから、弱音のリニアリティ感と暗騒音に消え入るような弱音・余韻まで聴きとることができました。正しく、小ホールでライブ演奏を聴いている感じです。スーパーカーのオーナーがサーキットを走るイベントに参加して、自分の車の凄さをあらためて実感されるのと似た感覚なのかもしれません。

 

B面のTBMの録音の良さは良く知られていますが、A面のダイレクトカッティングの録音を聴くと、テープによる録音では転写やS/Nの劣化があるようで、透明度の劣るガラス越しに見ているようです。テープヒスなどが脳に心地良さを与える場合も否定はしませんが、ダイレクトカッティング録音の下方リニアリティの高さはレコード再生の可能性を見せてくれます。素晴らしいオーディオ機器こそ、たまにはサーキットで思う存分走らせてあげたいですね。オーディオマニアは音楽ではなく音を聴いていると揶揄されることがありますが、スーパーカーでサーキットを思いっきり走った経験のある車好きの方には分かって貰えるかなと思いました。

 

最後に、行方洋一氏でライナーノーツで書かれた一節をもう一度書かせて下さい。

 

私共ミクサーが録音の時に聞いている音、つまりミクシングマシーンでバランスを取って録音して時のモニター音(この場合テープ・レコーダーは存在しません)この時の音がダイレクトカッティング盤では味わえるのです。

 

 

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今年の夏からお世話になっているテニスクラブの仲間と地元で開催されてテニスの団体戦に参加しました。若い人達の球は速くスピン量も多く、「黄金の60代」はたじたじ、成績は0勝4敗でした。しかし、自分としては納得のいく試合ができ、充実した一日を過ごすことができました。おばさま達からお菓子の差し入れを頂いたりして、テニスクラブ仲間との交流も深められました。

 

朝一番でスマホのズーム機能を使ったら綺麗な富士山の写真が撮れました。肉眼ですともっと鮮明なのですけど……



こちらは、同日に遠距離恋愛中(冗談ですよ!)の妻が撮った富士山の写真です。



レコード(音楽)の力

近々予定しているオフ会ではアグネス・チャンの曲も多少は聴く会になりそうですので、手持ちのレコードを洗浄しました。

 

アグネス・チャンは1955年に香港で生まれで、1972年に「ひなげしの花」で日本でデビューしています。私も同世代で自分の青春時代には彼女の歌が常にありました。半世紀以上経った今でも、彼女のレコードを手に取ると、外観はおじさんのままですが、気持ちだけは二十歳の青年に若返ります。少ない給料の中から節約して手に入れたレコードは半世紀経った今でも特別な存在です。

 

 

 

自分の親がテレビで懐メロ(昭和歌謡)を聴いていたのを思い出します。時が過ぎて、私の懐メロがアグネス・チャンになろうとは思いもしませんでした。CDやストリーミングでも聴けますが、30cm角のジャケットを眺めたり、歌詞カードをあらためて読んだりすると、会社の寮で当時の友人たちと恋愛や将来について語り合ったことが思い出されます。5年勤めていた会社を退職して、所有していたオーディオ機器をすべて売却して1年間の予定で貧乏旅行に出発したのはそれから間もなくでした。あの頃は若かった。

 

自分の持ち物で一番長く所有しているのはレコードだと気づきました。書物は終活でつい最近段ボール20個分ほど処分しましたので、その次に古いのは何か思い出せません。ソニーのユニットも20年程使っていますが、妻の方が少し古いと言ったら怒られそうですので、これくらいにしておきます😅

 

音楽と芸術の秋を堪能しています

 1987年にフル・デジタル・レコーディングされたStingの『...Nothing Like the Sun』のハイレゾ音源が思いのほか良かったので、レコード(中古)も購入しました。

 

光カートリッジ(DS001)とオルトフォンのMCカートリッジ(MC-A90)の両方で聴き、ハイレゾ版との違いを楽しんでいます。比べさえしなければレコード再生でも十分に音楽を楽しめますが、元々が優秀なデジタル録音だけあってハイレゾ版は音楽性と録音(音源)の良さが光ります。 当時(1987年)のアナログからデジタルへの変換速度および精度がまだ発展途上でしたので、それが時々耳に付くところはありますが、録音レベルが適切でラウドネス・ウォーとは無縁の音源ですので下方のリニアリティが保たれています。我が家ではデジタルプリ(アキュフェーズ DC-330)を使っていまして、そのボリュームの位置は普段より3dB程高めに設定して丁度良い音量になります。音数の多さと広いサウンドステージStingのボーカル(もちろん演奏も)の素晴らしさを引き出して歌詞の意味が伝わってきます。

 

 

 

先日、マルチチャンネルを熱心にやられている方宅にお邪魔して、私のオーディオの幅を広げてきました。Stingの『...Nothing Like the Sun』はステレオ録音ですが空間表現はトップクラスです。もしかしたらと思い、部屋の中央(普段聴く位置から2m程前)でそれなりの音量(大音量と書くと誤解されそうですので)で聴いたところマルチチャンネル再生に近い(宇宙的な?)音場が味わえました。そんなことはないだろうとマルチチャンネルをやっている方々からはお叱りを受けそうですが……

 

 

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私の苦手な冬もすぐそこまでやって来ていますが、芸術の秋を堪能しています。上野公園の一角にある東京国立博物館に行って来ました。私は東京には何十年も住んでいましたが、初めての訪問です。

 

 

 

目的は東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」の見学です。国宝とか重要文化財などの価値は良く分からない私ですが、数千、数百年前に生きた自分達の祖先の生き様に少しだけですが触れられたような気がしました。自然との共存、そこに普遍的な美があると感じました。

 

 

 

オーディオのイベントと違って、会場には若い人が多かったです。NHKの特集でこの特別展を紹介していましたので、国宝級の作品を生で鑑賞したいと思われた方が多かったのかも知れませんね。

 

安らいだ気持ちでライトアップされた東京国立博物館を後にしました。

 

 

ステレオサウンド』223号で、“未来に語り継ぎたい”オーディオコンポーネントが105機種紹介されましたが、それらを一同に集めて展示するようなオーディオ博物館があれば良さそうですね。もちろん、場所はオーディオの聖地「秋葉原」…

 

 

久しぶりにハイレゾ音源を購入

e-onkyo musicを久しぶりに覗いたらStingの『...Nothing Like the Sun』(ハイレゾ音源)が目に留まりました。私はStingのファンというわけではありませんが、『The Last Ship』(2013発売)はCDで時々聴いています。

 

e-onkyo musicサイトで『...Nothing Like the Sun』をヘッドホンで試聴しました。音の広がり感が凄いですね。ステレオ録音の音源ですが、ヘッドホンで聴くと360度パノラマビュー的な音場感が味わえます。あるサイトのレビューを見てみますと、両極端な感想が書かれていますが、音量を含めて、再生環境によってはどちらもあり得ると思います。優れた録音エンジニアでも万人を満足させるのは難しいようです。

 

Aさん:すざましい音の解像度、セパレート感、何度も聞いた曲にこんな音が入っていたのかと気付く。

 

Bさん:無理矢理左右チャンネルを分けて、このアルバムの持つヴォーカルとバンドの一体感が無い。

 

迷っていても前には進めませんので、とりあえず3曲目で定番の「Englishman In New York」を購入して我が家のホーンシステムで聴いてみました。正しく、Aさんの感想通りです。部屋が音で十分に満たされる程良い音量で再生すると、指向性の強いと思われるホーンシステムからこのような広大で立体的な音場感が味わえることが確認できましたので、全曲購入しました。ホーンシステムの空間表現力もそうですが、傾斜天井のリスニングルームの音響空間の響きの良さに改めて気づかされました。音源と再生機器、音響空間の相性はありますよね。

 

『...Nothing Like the Sun』は1987年にリリースされて、当時かなり評判になったようですので、Stingファンにとってはなにも目新しいことはないのかもしれませんが、私は35年遅れでこの素晴らしい楽曲・録音を堪能しています。先日紹介したハイファイセットのベスト盤の録音が好みと感じられた方には、この音源もお勧めです。是非、e-onkyo musicのサイトでヘッドホンを使って試聴して欲しいです。

 

 


Stingの『...Nothing Like the Sun』はレコードでも聴きたくなり、中古ですが注文して来週には届く予定です。ハイレゾ版との違いを楽しむ予定です。

 

Alan Parsonsが語ったとされる言葉を思い出します。音楽ファンからは本末転倒だと言われそうですが、私はオーディオマニアなのです😀

 

“Audiophiles don’t use their equipment to listen to music. Audiophiles use your music to listen to their equipment”.

 

 

Grandioso T1とEsoteric P0の設計思想

Esoteric から最近発売されたターンテーブル Grandioso T1が技術的な観点から気になります。経済的な観点からは私には縁のない世界の製品ですが、それはそれとして …

 

なぜ、私がGrandioso T1に惹かれるかと言うと、1997年発売された私の愛器の一つであるP0の設計思想をGrandioso T1にも感じるのです。

 

カタログからの抜粋になりますが、下記がGrandioso T1の特徴です。

● 特許を取得した独自の非接触ドライブ方式「ESOTERIC MagneDrive System」搭載。
● マグネフロート方式プラッターで軸受けの摩擦抵抗を大幅に低減。
● メインシャーシ、モーターユニット、電源 ユニットによる3ピース構成。

 

下記はGrandioso T1(左)とP0(右)の外観の写真になります。雰囲気が似ていると思うのは私だけでしょうか。洗練されたエレガントさはないデザインと感じられる方も居られるかもしれませんが、製品の設計思想が表現されていると私は思います。まるで、表現したい音が見えるようなデザインです。

 



下記はGrandioso T1とP0の機構部の写真です。T1ではマグネフロート方式プラッターに加えてマグネティックドライバーの距離を変えて、音質の変化を楽しむ設計になっています。一方、P0の設計はピックアップ部にロスレス・スレッド送り機構を採用、そして、デジタル・サーボを採用してトラッキング・フォーカス・スピンドルのサーボの量をユーザーが任意に調整することで音質の変化を楽しむこともできます。

 



TechDAS Air Force OneとGrandioso T1を同じ環境で聴いてみたいものです。もちろん、その時のカートリッジはDS AudioのGrand Masterで私的には決まりです。もし、今年ダイナミックオーディオのマラソン試聴会が開催されていたら聴けたかもしれないと思うと、その中止の決定がちょっと残念です。

 

Grandioso T1はランボルギーニフェラーリなどと同様、私には手の届かない製品ですが夢のある製品を雑誌を通じてのみでも身近に感じられるのは楽しいですね。価格を抑えて実用に徹した製品はもちろん大事ですが、それのみとなると特に趣味の世界、夢が無くなります。いつかはランボルギーニまたはGrandioso T1、それが仕事や生きることの励みにもなります。

 

*今回使用した画像のGrandioso T1はESOTERICのホームページ、Esoteric P0 はオーディオの足跡のサイトからの転載です。

 

200V-100Vダウントランスの工作

オフ会でたくさんの刺激を頂き、私の脳もオーディオモード全開のようです。今回はダウントランスの工作をしましたので紹介します。

 

中村製作所 NSIT-2000plus MarkⅡを導入したのが2011年、それ以来、オーディオ機器はほぼすべて200V-100Vダウントランスを使って給電しています。それより少し前に購入したオヤイデのダウントランス1,000VAと500VAの物も併用しています。

 

中村製作所 NSIT-2000plus MarkⅡ(左) オヤイデ(右)



下記は中村製作所 NSIT-2000plus MarkⅡの内部の写真です。左側に160VAのトランスが3個あるのが分かります。右側の大きいのは2,000VAのトランスです。

 

 

オヤイデの1KVAのトランスと中村製作所のNSIT-2000plus MarkⅡは床下に置いて、下記の図のようにパワーアンプ用として使っています。中村製作所の160VAトランスの3個の内の2個はケースから取り外しています。

 

 

上流の機器はオヤイデの500VAのトランスを下記のように使っています。

 

 

今回はその取り外していた中村製作所の160VAのトランス2個を有効利用することにしました。木工作業は青空工房で、組立と配線は玄関ホールで妻の留守中に行いました。足の踏み場が無くても怒る人はだれもいません😅

 

 

出来上がりました😀 これはスピーカーと壁の間に置きますのでなるべく幅が狭くなるように、そして、スイッチはアクセスしやすいように高いところに配置してあります。左側のトランスはデジタルプリとフォノイコライザ用、右側のものはCDトランポート、クロック、ネットワークトランスポート用です。

 

 

今回は、上流の機器は中村製作所の160VAのトランス2個を下記のように使います。

 

 

工作したダウントランスを設置して例のハイファイセットのベスト盤を聴いてみました。何となく情報量が増えたような気がしないでもありません。耳で聴いて分からなくても、良いと思われることをコツコツとやるのが良い音への近道と信じています😀

 

寒くなる12月からは、寒さが苦手な私は熊のように冬眠したいのですが、それは無理のようですので、部屋を暖かくして音楽三昧の予定です。

 

スピーカーの角度の調整

先日のオフ会で、ボロトレーンさんの友人のSさんが持参されたハイファイセットのベスト盤の録音が(もちろん演奏も!)素晴らしかったので、私も中古品ですが購入しました。そのCDが届いた夜は4回も繰り返して聴いてしまいました。音量を上げ過ぎないのがこのCDを鳴らすコツのようです。心地良い音量は人それぞれですが、ボーカルによっては焦点が合う適量な音量ってありますよね。

 

 

 

上記のハイファイセットのベスト盤を小音量で聴いていると、音の焦点が甘いような気がしてきました。そこで、試聴しながらミッド用ホーンの向きを下記の図の10度から少しずつ内振りにしてみました。私が一番焦点が合ったと感じたところが、試聴位置のほんの少し前で交差する角度(25度)でした。

 

 

 

新しく交差法に近い配置にしたところ上記のCDの録音が見えるくらい、音の焦点が合ったような気がします。楽曲によってはさりげなくスピーカーの外側(図の星印のところ)にも音が振ってあるのが分かります。録音時に位相を調整してそのような音が作られたと想像します。その位相情報が我が家でも正確に再生されているのかな?

 



当初は焦点が合ったと喜んでいた私ですが、交差法に近い角度で数日聴いていたら、何となく中央の音像が私には強調されているように感じられるようになりました。音像重視の方はこちらを好まれるかもしれませんが、立体的な音場感が味わいたい私ですので、スピーカーの角度を再調整することにしました。

 

試聴しながらスピーカーの角度を25度から少しずつ広げた結果、10度が私の感性には一番合っていそうです。なんと、元の角度に戻ってしまいました。しかし、いろいろ試した結果、再びこの角度を選択したことが重要ですよね。

 

ハイファイセットのベスト盤を聴いて、山本潤子のボーカルで荒井由実の歌詞の世界がより理解できたような気がしています。恋人を思う気持ちの描写が絶妙ですね。素敵な音楽があってこそのオーディオですが、オーディオは音楽の魅力をより引き出してもくれます。オーディオが趣味で良かったです😀