Myu Audio日記

オーディオ関連のブログです。

私の好みの音・チャンネルデバイダーの設定

先日、Auro3D宅を訪問してマルチアンプ方式でも駆動できるように工夫された市販のスピーカーシステムで私の定番音源を聴かせて頂きました。

 

今回は、Auro3Dさんが現時点でベストと思われる4種類のチャンネルデバイダーの設定で音楽を聴いて、私の「好みの設定」を告白する重要な役目を仰せつかりまりました。Auro3Dさんと私、バックグラウンドは文系と理系の違いはありますが、趣味では二人共「遊び心」を大事にするタイプですので、検聴という名のもとお互いのシステムを批評することはありません。

 

Auro3Dさんからは、4つの設定(種明かしは試聴後)の中から「私が好き」・「私が自然」と聴こえる設定を聞かせてほしいとのことでしたので、オーディオ(検聴)モードではなく、音楽鑑賞モードで聴かせて頂きました。検聴となると正解および不正解があり、私の駄耳がばれてしまいますが、3つのスピーカーシステムを愛用している私ですので「自分の好み」は分かっているつもりです。

 

4種類のチャンネルデバイダーの設定での試聴の結果は、Auro3Dさんと私の「一番の好み」の設定は異なりましたが、試聴後にお互い最も自然と感じた理由を、美味しいコーヒーを飲みながら披露しあいました。人によって聴く「視点」が近い部分もあれば異なる部分も多くあることを、二人共改めて気づかされました。

 

Auro3Dさんの2024年5月2日のブログで、私のコメントにAuro3Dさんから返事を頂きましたのでその一部を紹介します。このような仲間がいる趣味は楽しい。

 

オーディオの聴き方として、「音像」「音場」「音質」という3要素があるといいますが、昨日のDiscussionの中で、Myuさんの<聴きどころ>を少し理解したような気がしています。人が「音を聴く」と言った場合の「音」とは何か、がそれぞれに微妙に異なっているということに改めて気が付くことができ、この歳にして大変な人間理解につながっています。

 

社会科学の学問分野では、よく、「視点が違う」という用語を使うのですが、音にも「視点」、いや「聴点」?というものがあるんだな、と。多様な視点を持つように、と学生に言うのと同様、多様な「聴点」によるチェックを行うことが、<音の真理>に近づく有効な方法論であることは間違いなく、その意味で、相互オフ会(ただし学会と同様、お互いに言語化できる能力がないと集まる意味は薄くなる…)は、独りよがりの「聴点」だけによるアプローチを避ける意味で有意義ですね。

 

エルサウンドのフォノイコライザ EMC-2 の試聴記(2024年4月18日)のところでも書きましたが、私の嗜好を箇条書き(順不同)にしました。😅

  •     スピーカーシステムが消えるのは最低条件で、できれば部屋が消えるくらいの3次元的な空間表現能力を求める
  •     最弱音域の音数(情報量)を重視、ホールの暗騒音未満の音も聴きたい
  •     鮮度感を重視、必要なら原音に含まれているであろう嫌な音も聴きたい
  •     ハーモニーの中にもそれぞれの楽器・人が見えるような緻密な音が好み
  •     美音と称される「見えそうで見えない音」にはもどかしさを感じる
  •     音像が迫ってくるデフォルメされたような表現は苦手

 

そして、遡って2023年7月28日には「音の調整は理想の女性探し?」と題して、クロスオーバー周波数と減衰特性の選択で、たとえ周波数特性はほぼ同じでも、幸田浩子さんのプロポーションに例えて音の印象は大分変わると書いています。下記のイメージ図は幸田浩子さんからお叱りを受けそうですのでぼかしていますが、私の脳内イメージを紹介するのに、文章力の乏しい私にはこれ以上の伝え方は思いつかないのです。私の結論は、このイメージが人それぞれで、それが「音は人なり」となるのではと思っています。

 

 

上記は、私のオーディオの「エントリーシート」になります。オーディオ愛好家向けのマッチングアプリがあると面白そうです。ブログでの意見交換やオフ会がより活性化するかもしれません。自分と好みのオーディオ再生(音楽を聴く部屋の美意識も含めて)が世界中で一番近い人は誰なのだろうか。

 

最後に、Auro3Dさん充実したオフ会ありがとうございました。勉強になりました😀

 

レコードとハイレゾ音源の魅力

我が家のアナログ再生も人並みのレベルになったと自己満足している私です。そこで、我が家の実力を測りたくなる、音楽愛好家ではなく、オーディオマニアなのです。菅野沖彦氏に「レコード演奏家」の一員と認めて貰えると嬉しいのですが😀

 

そこで、「なんちゃってレコード演奏家」の私が選んだのがショルティ指揮、シカゴ交響楽団演奏の『マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》』です。レコードのジャケットに映っている録音風景を見ただけで、このアルバムの凄さが伝わってきますよね。この録音では、独唱者と合唱団に17本、オーケストラに21本のマイクロフォンが使われたそうです。当時(51年前)かなり話題になったようです。マイクロフォンが多ければ良いわけでもありませんが、マルチマイク録音によるこの大編成の曲が、2チャンネルに落とし込まれたレコードでどのように鳴るのが楽しみです。

(注)私はサウンドステージの表現力を重視する聴き方をしますので、自然な奥行き感が感じられるワンポイント録音も大好きです。

 

 

 

e-onkyoのサイトを覗いたら、上記の音源がキャンペーンで42%引きで販売されていましたので購入しました。フォーマットは flac 96kHz/24bit ですので、レコードとの違いがどのような形で現れるか楽しみです。51年前のアナログ録音がハイレゾのフォーマットに変換されたことで、よりマスターテープの音に近いであろうと感じられれば、私にとって今回のお買い物は大成功なのですが、結果はいかに。

 

 

 

フォーマットは flac 96kHz/24bit ですが、オーディオマニアの端くれとして、スペクトラムを確認してみました。周波数そしてダイナミックレンジとも看板に偽りはないようです。

 

 

 

レコードとハイレゾ音源の両方を聴いて、我が家のアナログ再生もずいぶんよくなったと改めて思いました。もちろん、上級レベルのレコード演奏家からみると足りないところはたくさんあると思いますが、自分の努力を誉めてあげたいくらいです。

 

この51年前に録音された音源のレコードとハイレゾのフォーマット、どちらが私の好みかと訊かれると後者です。2次元的な空間表現は両者ともスピーカーの存在を感じさせないほどの広さです。奥行き感は、僅差ですがハイレゾが優っています。これが、我が家のアナログ再生も良くなったを感じている要素なのかもしれません。

 

私にとって一番の違いは、弱音域の情報量・音数でした。ハイレゾでは独唱の部分の明瞭度の高さは流石です、そして定位も明確です。レコードの場合、演奏にパッションを感じます。独唱は美音で聴き易いのですが、私には独唱者の立ち位置がファジーで私には見えそうで見えないもどかしさがあります。音楽愛好家の方々はレコードの方が聴き易く音楽性が高いと評価されるかもしれません。

 

試聴に使ったアナログ再生関係の機器は下記の通りです。 フォノイコライザの出力をAccuphaseのデジタルプリアンプのアナログ・デジタル変換モジュールに繋いで再生しました。

    カートリッジ:          audio-technica AT-ART9XI、DS Audio DS003
    トーンアーム:          グランツ MH-10B、ロクサン TABRIZ-ZI
    ターンテーブル:     ノッティンガム Spacedeck
    フォノイコライザ:  エルサウンド EMC-2、DS Audio DS003(EQ)

 

ハイレゾ音源は fidata HFAS2-X40のデジタル出力AES/EBUをAccuphaseのデジタルプリアンプのデジタル入力に繋いで再生しました。Sforzato DST-01は写真には写っていますが、今回の試聴では使用していません。

 



フィデリックスのホームページで、アナログとCDのダイナミックレンジの話がされています。レコードの方が、下記を加味すると聴感的にはCDよりダイナミックレンジを広くとれる場合もある、と私は理解しました。

  • アナログの基準レベルとザーノイズは約60dB、
  • 基準レベルの上にはまだ15dBほどが入る
  • ザーノイズの下20dBほど低い周波数成分まで人間は聴き分けられる
  • などなど

 

興味のある方は「アナログ約60dB、デジタル90dB以上というDレンジは比較不可」で検索して見てください。

 

聴く側の私の経験から言えることは、録音エンジニアの技量と売る側のマーケティングの大人の都合の方が、フォーマットの優劣よりも影響の度合いが大きい場合が多いと思います。やはり、良い音源あってのオーディオですよね。

 

 

最後に、我が家の2本のスピーカーでは写真左にあるような凄みのある録音風景は表現しきれませんでした。オーケストラものはそれなりに鳴っていると思っていましたので、少し期待していたのですが、さすがにオーケストラ、4つの合唱団、そしてオルガンの大大大編成は2本のスピーカーでは、アリが像に立ち向かっている感じです。無謀な挑戦でした。一億円越えのMAGICO M9で聴いてオーディオ再生の限界点を知りたくなります😀

 

 

小物の工作

アナログプレーヤー用ボードの加工ででた端材を使ってちょっとした工作をしました。

 

 

 

工作途中の写真を取り忘れましたが、出来上がったのはモーター用の電源スイッチボックスです(写真中央)。さりげない納まり具合が気に入っています。真っ直ぐ切断できていないのはご愛嬌ということで😅 

 



ちなみに、モーター用のヘビーデューティー仕様のベースも自作品です。3年前にパイナップルの空き缶に鉛を溶かしこんで作りました(写真左)。右の写真に写っているのが以前のモーター用の電源スイッチです。

 

久しぶりにモーターを持ってみたら、小さな割にかなりの重さを感じましたので、測ってみたら2.9kgしかありませんでした。手のひらにのるような小物ですが、密度が高いので体感的には10kgくらいに感じます。

 

 

今回の工作でアナログ周りがスッキリしました。あとはお気に入りのレコードをまったりと聴くのみです。

 



自己評価で当てになりませんが、最近、マイベスト・アナログサウンド更新が続き、我が家でも人並みのレコード再生ができるようになった気がします。

 

レコード再生は、なぜか自分の内面を見せる感じで、人様に聴いて貰うのは恥ずかしく思えるのは私だけなのでしょうか。デジタル再生では、そんなことは思いもしませんでした。半世紀前、少ない給料を工面して購入した大切なレコードには青春の思い出が詰まっているからかもしれませんね。

 

この年齢になって、アナログ再生の楽しさに気づくことになるとは、人生分からないものです。レコードを手に取ってジャケットを見ながら、そしてライナーノーツを読みながら音楽を聴くのは楽しい。まるでコンサートホールで特等席に座ってパンフレットを読んでいる気分がちょっとだけですが、自分の部屋で味わえます。

 

こんな事言いながら、次回はハイレゾ音源の話をするかもしれません。アナログ再生が良くなればデジタル再生はもっと良くなると思ってしまう「ピュア・デジタル再生派」の性です😅

 

 

ハム音対策、ACモーターの移動

2週間ほど前に紹介しましたが、トーンアームをトーンアーム受けに置いた時だけMCカートリッジが近接するACモーターから電磁誘導を受け、スピーカーからハム音がでているのに気付きました。今回はその対策編です。

 

Before



ハム音の対策としてACモーターの位置ををプレーヤーの後ろ側から左側に変更しました。60㎜厚のウォルナット(もしかしたら、カリンかも)の集成材の左側にモーター用の切り込みを入れ、蜜蠟で仕上げました。60㎜厚のルーター加工は素人の私には難易度の高い作業でしたが、以前ある方からアドバイスを頂いていましたので、無事に作業を終えることができました。

 

 

新しい位置にモーターが無事収まりました。もちろん、ハム音は聴こえません😀

 

After

 


このように、相変わらず「工事中」が多い我が家ですが、このような細かい改善の積み重ねが「私の音」となっているようです。スピーカーユニット遊びも楽しいですが、最近はアナログ再生も同じくらい楽しいです。

 

ラック配置の最適化(備忘録)

今回の記事は、人様の役に立つような情報ではありませんが、私の備忘録として残します。数年後に振り返ってみると、この時はこんなことをやっていたんだと思い返せます。私にとって、これがブログを続ける最大の動機になっています。

 

エルサウンドのフォノイコライザを導入しましたので、我が家のラックの配置の最適解が変わりました。

 

制約条件

  • メインシステムの仲間入りすることが決定したエルサウンドのフォノイコライザの場所の確保が最優先
  • プリアンプのボリューム調整の頻度は高いので、操作性の観点からラックの上段に置きたい
  • 微弱な信号を扱うフォノイコライザ(3種類)はカートリッジ・トーンアームからなるべく近くに置いて、ケーブル長を短くしたい
  • CDを聴く頻度は低いので、CDトランスポートの位置はそれ程重要ではない
  • fidataを導入したのでネットワークトランスポートのスフォルツアート DST-01は場所が確保できないければ、物置きに移動しても構わない

 

下記は配置換え前の写真です。

Before

 

 

下記は配置換え後の写真です。

After

 

下記の変更を行いました。

  • エソテリックのCDトランスポートを下の段に移動
  • スフォルツアートのネットワークトランスポートを左のラックに移動
  • Sutherland HubbleとDS Audio DS003(EQ)は右のラックの上段に移動

上の写真では分かりづらいですが、エルサウンドのフォノイコライザ(EMC-2)はVPIのプレーヤーの下に潜り込ませています。このスペースを見つけられたのが、今回の配置換えのキモ(其の一)でした。

 

 

 

3種類のフォノイコライザからの出力を切り替えてプリアンプ(Accuphase DC-330)のアナログ入力に入れるのに、RCAケーブル3chラインセレクタ QRB LS-R0i を使っているのですが、この機器の配置をどうするか悩ましいところです。

 

 

 

ラインセレクター QRB LS-R0i の最適な場所が見つかりました。ちょっとした木工の工作が必要ですが、ラックの裏側に配置すればフォノイコライザとの接続も最短で行えます。そして、表側から見えないのも嬉しいです。これが、今回の配置換えのキモ(其の二)でした。正しく、隙間収納の極意です。

 



上記のように我が家のアナログ再生の環境も整いつつあります。残るは、先日紹介しましたハム音の問題の対処の一環で、ノッティンガムのプレーヤーベースの側面に新たにモーター用の切り込みを入れる作業が残っているのみとなりました。最近「やる気スイッチが入り」近々決行の予定です。

 

エルサウンドのフォノイコライザ EMC-2 の試聴

今回はエルサウンドEMC-2(MCカートリッジ用イコライザーアンプ)を我が家のアナログ環境で試聴しましたので、その結果を紹介します。

 

私は「ピュア・デジタル再生派」の称号をある方から頂いているくらい、デジタル再生重視の人間なのです。私はアナログ再生の万年初心者で、私の音の好みも一般的はないかもしれませんので、この試聴記は話半分でお読みください😀

 

 

試聴に用いた機器

EMC-2はVPIのアナログプレーヤー ARIES 3 Black Knightに取り付けたaudio-technicaのMCカートリッジ AT-OC9/IIIで使う予定でしたが、今回の試聴は比較試聴の環境が整ったノッティンガム Spacedeckで行うことにしました。

 

試聴に使ったアナログ再生関係の機器は下記の通りです。

  • カートリッジ:          audio-technica AT-ART9XI、DS Audio DS003
  • トーンアーム:          グランツ MH-10B、ロクサン TABRIZ-ZI
  • ターンテーブル:     ノッティンガム Spacedeck(モーターは非純正品)
  • フォノイコライザ:  エルサウンド EMC-2、Sutherland Hubble、DS Audio DS003(EQ)
  • ​その他:      バキューム式レコードスタビライザー(ユキム CVS-1)

 

 

 

我が家のアナログ再生の場合、デジタルチャンネルデバイダーを使っていますので、A/D変換およびD/A変換が発生します。「ピュア・アナログ再生派」の方からみると、良い音がするはずがない部類のアナログ再生の環境なのです😅

 

エルサウンド EMC-2の出力はAccuphaseのデジタルプリ(DC-330)でA/D変換され、デジタルチャンネルデバイダー(DF-55)にデジタルデータで送られ、4ウェイに分割された後D/A変換されAccpuhaseのパワーアンプにアナログ信号で送られます。使用したスピーカーシステムはウーファーソニー製(エンクロージャーは密閉型)、それ以外はScan-Speak製の楕円三兄弟です。

 



試聴結果

試聴の結果は私の好みが大きく反映されますので、私の嗜好を箇条書き(順不同)にしました。大した音も出していないのに大口を叩いていますが、志だけは高いということで、お許しください😅

  • スピーカーシステムが消えるのは最低条件で、できれば部屋が消えるくらいの3次元的な空間表現能力を求める
  • 最弱音域の音数(情報量)を重視、ホールの暗騒音未満の音も聴きたい
  • 鮮度感を重視、必要なら原音に含まれているであろう嫌な音も聴きたい
  • ハーモニーの中にもそれぞれの楽器・人が見えるような緻密な音が好み
  • 美音と称される「見えそうで見えない音」にはもどかしさを感じる
  • 音像が迫ってくるデフォルメされたような表現は苦手

 

試聴用音源

私はシステムの調整にはデジタル音源(マイ定点観測用音源)を用いますので、アナログ再生では試聴用の音源は決めていないのです。そこで、「新プロジェクトX~挑戦者たち~」の放映に伴い、中島みゆきの特集をやっていましたので、最初の音源として中島みゆきのレコードから「みんな去ってしまった」を楽曲や録音など無関係に手に取りました。中島みゆきのCD音源は私的には鳴らしづらい音源なのですが、久しぶりに聴くレコードの音源、なかなか良いのです。

 

比較試聴 

試聴は下記の組み合わせで行いました。 

 組み合わせ① audio-technica AT-ART9XI + グランツ MH-10B + Sutherland Hubble

 組み合わせ② DS Audio DS003 + ロクサン TABRIZ-ZI + DS003専用イコライザー

 組み合わせ③ audio-technica AT-ART9XI + グランツ MH-10B + エルサウンド EMC-2

 

1.中島みゆき「みんな去ってしまった」を聴いての印象

 audio-technica のカートリッジと Sutherland のフォノイコライザの組み合わせの音をリファレンスにして、私の試聴の感想を述べます。

 

 

audio-technica のカートリッジと エルサウンドのフォノイコライザの組み合わせの音は、他の2つの組み合わせより、頭一つ抜きんでたアナログ再生が私の印象です。立体的なボーカルと演奏が心地良い。ドラムス、ベース、ボーカル、キーボード、ギターの定位が明確に聴こえます。アコースティックギターの弱音が暗騒音の域まで聴こえ音楽に浸れます。バックコーラスが明瞭で空間に溶け込む感じも素晴らしい。Sutherlandの場合、ボーカルが少し平面的、演奏の低音域が少し薄く聴こえますが、音場感はエルサウンドと同様に素晴らしい。それから、エルサウンドのフォノイコライザは、カートリッジのカンチレバーの材料の違い(DS003はアルミニウム、AT-ART9XIはボロン)をしっかり表現できている印象です。

 

光カートリッジの組み合わせは、ドラムスの音に芯があり明瞭、密閉型のウーファーで聴いているからよりその良さが分かります。中高音はリファレンスに比べて音色が豊か、音場感より音像感が優って聴こえます。光カートリッジの出力レベルが高く、光用フォノイコライザのゲインは低く設定できるので、プリアンプのボリュームをほぼ全開にしても残留ノイズが気にならないのは嬉しいです。ジャズやロックの再生では、光カートリッジの良さが発揮されそう。

 

 

2.ブルガリア国立合唱団「Bulgarian Polyphony Vol.1」を聴いての印象

次に選んだのが私のお気に入りのレコードブルガリア国立合唱団「Bulgarian Polyphony Vol.1」です。

 

 

Bulgarian Polyphony Vol.1はスチューダーA-820をハーフ・インチテープ76cm/secでまわして録音された音源です。ブルガリアン・ボイスは2-4kHz 付近のエネルギー感が高く、その上倍音が多く40kHzに達し、この高調波は総勢29名による合唱でなければ出せないそうです。

 

この録音の凄いのは情報量と広大なサウンドステージです。そして、29名一人一人の声が広大なパノラマとして展開してくれたのがMCカートリッジの組み合わせでした。光カートリッジの組み合わせでは、合唱団が幾分中央よりでした。この音源には低音域はあまり含まれていませんので、Sutherland とエルサウンドのフォノイコライザの違いは私には聴き取れませんでした。両フォノイコライザとも、過度特性が良いようで29名による不協和音が濁ることなく美しく、そのレコード再生に我ながら惚れ惚れします。

 

 

3.グリモー「Credo」を聴いての印象

グリモーのクレドのレコードを購入したのが昨年10月でしたが、今回初めて盤に針を落とします。

 

この試聴に限ってはCDの音源と聴き比べてみました。CDの再生にはエソテリックのP0s(外部クロックも使用)を使いました。この音源の音数の多さからでしょうか、私の脳が処理に追いついていないようで、CDとアナログ再生の3つの組み合わせの違いが聴きとれない結果となりました。「ピュア・デジタル再生派」を名乗っている私としては、これはアナログ再生への最大の褒め言葉なのです。それなりの音量で再生しましたので、我が家のリスニングルームに音が溢れていました。

 

 

まとめ

エルサウンドのEMC-2の設計理念の一つ

  • のっぺりとした只綺麗なだけの音ではなく本来在る情報を極限まで再現したいが信条です。

私が求めている「鮮度感を重視、必要なら原音に含まれているであろう嫌な音も聴きたい」と相通じるものがあるような気がします。

 

エルサウンドのEMC-2の設計理念のもう一つ

  • 価格と音質は比例いたしません。

私が評価する項目の範囲内という条件は付きますが、有言実行されています。外装のデザインは大事な要素でしょうが、私はオーディオ機器はできれば隠したいタイプなのです。我が家ではデジタルチャンネルデバイダーとパワーアンプ7台は床下に配置しているくらいですから。私はセンスの良いデザインは大好きですので、自分でも一貫性がないことは認識しています。はい、見た目ももちろん大事です😅 

 

数百万のオーディオ機器が珍しくなくなった昨今、エルサウンドのようなコストパフォーマンスの高い製品がもっと認知され、ユーザーとして選択肢が増えれば、オーディオ愛好家のすそ野が広がるかもしれません。それから、audio-technicaのMCカートリッジ AT-ART9XI の音の良さ(+コストパフォーマンスの高さ)にも改めて気づかされました。私が昨年12月に5種類のカートリッジを聴き比べて選択しただけのことはあります。

 

今回の試聴の結果、エルサウンドのフォノイコライザ EMC-2はメインのシステムで使用することに決定です😀

 

オフ会の直前のスピーカーシステムの調整

当初の予定では、今回はエルサウンドのフォノイコライザの試聴記を予定していましたが、急遽、スピーカーシステムの測定の話に変更しました。

 

3月にお邪魔させて頂いたFさんと近隣にお住まいのWさんが、近々我が家に遊びに来られる予定です。先日夜遅く、リスニングポイントで音響測定をしながら音圧レベルとタイムアライメントの調整をやっていたら何が何だか分からなくなってしまいました。スピーカーシステムの位置を変えたのもいけなかった。オフ会の直前にシステムを弄るのはやってはいけない「あるある」なのですが、やってしまいました。反省😅

 

今回のオフ会、延期した方が良さそうとも思いましたが、翌日基本に立ち返ってスピーカーから1mの所で特性を再確認しました。

 

 

 

繰り返し測定しながら、それぞれのユニットの音圧レベル、クロスオーバー周波数、減衰特性、遅延時間の数値を微調整しました。ミッドローにバッフルステップ補正を施せば、周波数特性はフラット化できるのですが、私には聴感上音が抑圧されたように感じるときがあるので行っていません。私は最小限のバッフルから得られる広大なサウンドステージの方が重要(好み)なのです。それはともかく、左右の特性が良く揃っているのと、タイムアライメントもそれなりにできているのが確認でき、精神的余裕が少しでてきました。

 

各ユニットの特性(注:低域の調整前)

 

 

半日ほどの時間的余裕しかありませんが、後は定点観測用音源を使ってデジタルチャンネルデバイダーのパラメータの微調整に励みます。FさんとWさんには、我が家のシステムの出来ていないところには目をつぶり、良いところを見つけてオフ会を楽しんで貰えれば嬉しいです。オフ会は優劣を決める品評会ではないですからね😀

 

我が家のリスニングルームは、一年の内半分は「ただ今工事中」の看板を入り口のドアに掛けた状態なのですが、久しぶりに部屋が片付きました。妻の厳しい監査にも合格しました(うふふ)。私のスピーカシステムの調整力はともかく、お客様をお迎えする準備は整いました。

 

お出掛け用写真の更新



 

今年の3月のFさん宅の訪問記はこちら ↓

myuaudio.hatenablog.com