数年前にあるお宅で聴かせて頂いたダイヤモンド振動板を採用したAccutonのツィーターの自然な音楽再生は、今でも鮮明に脳裏に焼き付いています。今回はスピーカーユニットの話ではなく、ダイヤモンドカンチレバーを使ったMCカートリッジの話ですがお付き合いください。
ダイヤモンドカンチレバーを採用したカートリッジとしてよく知られているのはオルトフォンから発売されている MC Anna Diamond ですね。私はオルトフォンの MC-A90 を愛用していますので、MC Anna Diamond は手の届かない価格帯の製品ですが 、機会あれば試聴したい製品の一つです。
先日、あるジャズ愛好家宅のシステムで光悦のMCカートリッジ Blue Lace Agate Platinum を聴く機会がありました。私は光悦の広告や批評記事は読んだことがなく、このカートリッジがカンチレバーにダイヤモンドを採用しているとは知りませんでした。ちなみに、オルトフォンの MC Anna Diamond のカンチレバーは焼き入れの処理がなされており黒色ですが、光悦の場合、そのような処理はなされておらず下記の写真にあるようにダイヤモンドの輝き保ったままです。
光悦のMCカートリッジ Blue Lace Agate Platinum の再生音は私が知っているアナログレコードの域を遥かに超えています。カートリッジの音はカンチレバーの材質のみで決まるわけではないですが、最高の素材を最大限生かそうとする開発者の志がこのカートリッジの音に現れています。
Blue Lace Agate Platinum の再生音は、第一印象として「自然な感じ」です。聴いたレコード盤の状態も良いのでしょうが、針先がレコードをトレースしていることを感じさせません。まるで、テープのヒスノイズが無いマスターテープの音を聴いているみたいです。私の思い込みもあるかもしれませんが、ダイヤモンドツィーターの再生音に近いものがあります。
試聴は3ウェイのホーンシステムで聴きましたダイヤモンドので、音場の表現力は判断できませんでしたが、過度特性の良さのおかげでしょうか音像は3次元的で音色もとても魅力的です。ピアノの演奏など何時間でも楽しく聴けそうです。
話は少し戻りますが、同じくダイヤモンドカンチレバーを採用したオルトフォンの MC Anna Diamond はステレオサウンド誌で昨年グランプリを受賞、203号の中で下記のように評論家からも高く評価されています。
柳沢氏:あれほどレコードを聴いて感激したことはなかったいうくらい凄い製品でした。
傅氏:音はとにかく透明で美しくてS/Nもよくてバランスもいい。つくづく惚れました。
和田氏:どこまでも透明で品があって、澄み切った美しさにはこれでしか聴けない本当に魅力のある音を持っています。
上記の3名の評論家の感想は、私が光悦の Blue Lace Agate Platinum に対して感じた部分と重なり、私の語彙のなさを補ってくれています。
宝石としてのダイヤモンドには興味はありませんが、オーディオ機器の魅力的な素材としてダイヤモンドは私を誘惑(悪魔の囁きで)してきます。無い袖は振れませんので、誘惑に負ける心配はもちろんありませんが……😅