Myu Audio日記

オーディオ関連のブログです。

カートリッジの聴き比べ

纏まった時間が取れましたので、手持ちのカートリッジ2機種を集中して聴き比べてみました。両者にはかなりの価格差があり、それが音の差にどのように現れるのか興味があります。

オーディオテクニカ AT-OC9/III と オルトフォンMC-A90
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現役時代は精神的な余裕が無く、アナログ機器類は購入はするものの簡易的な接続でほぼ放置状態でした。定年生活も2年弱、そしてリスニングルームが完成して10か月経ちましたので、生活にもリズムができ、ようやく音楽を落ち着いて聴ける環境が整いました。Accutonのユニットのエージングも進みセラミック振動板から発せられる音とは思えないような”私にとって”自然な音がでるようになりました。Accuton3兄弟の後方にある密閉式のエンクロージャーにはソニーウーファー SUP-L11が入っており、タイムアライメントを行った上で100Hz以下を受け持たせています。

試聴環境 - Accuton3兄弟+Sonyの4ウェイシステム
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我が家ではデジタルプリとデジタルチャンネルデバイダーがシステムの基幹をなしていますので、アナログはAD変換する必要があります。最近まではラステーム・システムズ RAD192DをAD変換に使っていましたが、今回の試聴に伴いAccuphase DC-330のオプションボード A12-U1を箱から取り出して両者を比較試聴しました。結果はAccuphaseのオプションボード A12-U1をAD変換に使った時のほうが解像度も高く、鮮度感のある立体的な音が得られましたので今回のカートリッジの試聴はA12-U1を使っています。 RAD192Dの音は高域でのクロストークが原因と思われる定位の甘さが普段デジタル音源を聴いている私にとって気になりました。

試聴環境 - アナログ用入力機器
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今回試聴に使ったレコードは下記の3枚です。普段良くCDやハイレゾで聴いている曲からレコードでも持っている曲を選びました。我が家のアナログの実力は未知数の部分が多いですのでデジタルの音を基準にして試聴しました。オーディオテクニカのAT-OC9/IIIとオルトフォンのMC-A90では出力電圧が異なりますので、音量を同じようになるように設定して試聴しました。

1.中島みゆき 予感からファイト
2.キース・ジャレット ケルンコンサートから Part 1
3.マイケル・ジャクソン 25周年記念盤スリラーからBillie Jean

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私的インプレッション
1.中島みゆき 予感からファイト
「ファイト」は最近話題の中高年向けの昼ドラマ「やすらぎの郷」で効果的な使われたかたをされていましたので、久しぶりにレコードで聴いてみました。この曲のイントロでのドラムのグルーブ感とその振動音が録音スタジオのノイズフロアレベルまで消えゆく過程がカートリッジの比較試聴のポイントの一つです。

AT-OC9/IIでのドラムソロはCDの音源に比べたらあっさりして凄みが感じられないのはチョット残念です。「ファイト」ではこの力強いドラムのイントロで後に続く中島みゆきの世界に聴衆を引き込んでいきますの重要な要素です。中島みゆきの声の再生は安定していて、青春時代を懐かしく思い出します。

MC-A90でのドラムソロはCDほどの凄みはありませんが、「ファイト」がレコードの最内周に切ってあるのを考慮するとまずまずの音です。低域のエネルギー感の違い以外は、この楽曲ではAT-OC9/IIとMC-A90の違いは駄耳の私では聴き取れませんでした。
 

2.キース・ジャレット ケルンコンサートから Part 1
まずは、ハイレゾの音源で我が家でのリファレンスの音を確認しました。キース・ジャレットが鍵盤を叩くと、それに連動したハンマーが弦を叩いて振動、そしてそれが音となりノイズフロアのレベルまで余韻をともなって減衰していく様子が手に取るようにわかります。ピアノの音も立っていて聴いていて嬉しくなります。

MC-A90での再生音はハイレゾに近いクオリティを持っているのには脅かされました。ピアノの音色がほんの少しですが優しく、音像も少し低いような感じがしました。もう少し初動特性が高ければ、この辺が改善され、よりハイレゾに近づくと予想されます。しかし、エネルギーの変換に機械的接触のあるレコードからこのような高音質の再生音が得られるとは、久しぶりにアナログを聴く私にとって嬉しい誤算でした。

AT-OC9/IIでは落ち着いたピアノ演奏となり、リラックスして音楽を楽しめる感じです。MC-A90のスピード感溢れるオーディオ的快感とはまた違った味わいがあります。音場の広さも必要十分でMC-A90と比べなければ全く不満の無いレベルです。もしかしたら、私の妻はAT-OC9/IIの音のほうが好みかもしれません。


3.マイケル・ジャクソン 25周年記念盤スリラーからBillie Jean
この曲はやや大きめの音(iPhoneアプリでの計測で平均85-90dB)で聴きました。MC-A90の音場・音像の表現力の高さにマイケル・ジャクソンのレコーディングスタッフも喜んでくれそうです。圧倒的な情報量で、全ての楽器・ボーカル・バックコーラスの音があるべきところに立体的で実在感を持って出ています。MC-90は初動特性が素晴らしいようで音の切れ味には惚れ惚れします。音の輪郭も明瞭で超低域の再生以外は良質なハイレゾ再生と聴き間違うほどです。オルトフォンのMC-A90の再生音は、Accuphaseのアンプ類とAccutonのスピーカーとの相性も良く、切れ味最高、そして臨場感あふれる再生に納得させられました。

AT-OC9/IIで聴くマイケル・ジャクソンは私的には”普通の音”で、左右のスピーカー線上に音像が並ぶ以上のものは感じませんでした。MC-A90の音を聴いた後では、AT-OC9/IIからもスピーカーの外まで広がる臨場感や音像の高さがもう少し欲しくなります。あまり切れ味が要求されないような楽曲でしたら、このカートリッジの良さが生かせそうです。

オーディオテクニカから最近発売された、発電コイルをスタイラスチップの真上に配置したMCカートリッジ 「AT-ART1000」 試聴してみたいですね。オルトフォンのMC-A90以上の感動が得られるのか気になります。


まとめ
いろいろな理由で長らくアナログから遠ざかっていましたが、今回2機種のカートリッジでレコードを聴いてその良さを改めて認識しました。現在、無収入の未ですので新規でレコードを購入しようとは思いませんが手持ちのレコードが500枚ほどありますので、晴耕雨読の身、のんびりと音楽を楽しみたいと思っています。